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戦国妖狐、スピサ完結

本日6/10、ぼくがおそらく一番好きな漫画家であろう水上悟志さんの漫画、「戦国妖狐」と「スピリットサークル -魂 環-」の2作の最終巻が発売されました。

2016-06-10





2作とも毎巻楽しみにしていた漫画の一つだったので、せっかくだし作品通しての感想やらを書こうと思います。

 


惑星のさみだれ」についても、水上悟志作品を語る上で外せないので多少書きます

 

まず「惑星のさみだれ」(全10巻)から。 

ネタバレを気にしつつあらすじを語るのは素人にはなかなか難しいので、その辺は適当に調べて頂けると幸いです

かなり熱い漫画です。「熱い」って一言に言っても色々なものがあると思いますが、この漫画は勢いで熱さを伝えてくるというよりは、キャラクターありきの展開の熱さ、といった類のものですね

正直に言って、この漫画は全体を通して物語の転び方に意外性はあまりありません。特に、ラストの展開に関してはそれが顕著です

ただ、それでも面白いんですね。毎回、大体次こうなるんだろうなって予想が付くけど、予想を超える熱量で話が進んでいく。展開が意外な作品は、わかりやすく「面白い」って言われがちですけど、そうじゃないものが面白くないかって言われたらそんなことはないと思います

面白いと感じる要因の一つに、キャラクターが丁寧に描かれてる、というものがあります。当たり前だろう、と思われるかもしれませんが、登場キャラクター全員が人間的に成長して終わっている作品はなかなかないと思います

また、この漫画のテーマの一つに「大人」というものがあります。自分がこの作品を集めたときは未成年だったので、描いてある「大人」の感覚がよくわからんと言った部分もあったのですが、数年経って、酒だのも楽しめるようになったし段々わかる気がしてきました。その辺も面白さの一つ

巻数も手頃だし、水上悟志さんといえば真っ先に名前が挙がる作品なので、もし興味を持っていただけたならこの作品を最初に読んで、合う合わないを判断して頂ければいいかと思います

次は「戦国妖狐」(全17巻) 
さみだれに比べると長い!途中で主人公交代とかもあって、水上さんにしてはかなりの大長編。
確か買い始めたときが既刊3巻とかだったので、かなり長い間集めてたんですねえ

正直最初の方は漫画の雰囲気が暗いし、もしかしたらおれに合わないかもと思っていました。主人公一行の旅の動機が暗いキャラが多いんですよね

しかし、主人公交代で一変。物語の方向性が明るくなったような気がして、ハッキリと好きになってきたのはおそらくそこからだと思います

全体としてさみだれに比べるとかなりバトルが多めで、少年漫画寄りな作品です。ただキャラクターの内面にかなり踏み込んでいるので、少年漫画のターゲット層じゃない方も楽しめると思います

最後に「スピリットサークル -魂 環-」(全6巻)
こちらは手頃と感じるさみだれよりもさらに短め。ただ、読み応えはかなりあります。物理的に厚いっていうのもありますが

上の2作品からは一転してバトル描写がかなり少な目。能力バトル要素はほぼ皆無です

この作品は展開の仕方がかなり特殊で、あらすじ少し書かないと話せないので書きます。
 
舞台は現代、中学生の主人公は突然転校生のヒロインに「前世以前からの因縁がある」といって命を狙われます。ヒロインは前世に起因する道具によって前世以前の「過去生」をすでに見ていて、それで主人公を憎んでいます。主人公はなにも知らないので、まずはそれを見なきゃ始まらんという事で7つある過去生を順々に見ていって因縁の元凶を辿る、という話です。

これそれぞれの過去生がオムニバス形式で結構長めに書いてあって、 それ1つ1つ取るだけでも面白いです。過去生に出てくるキャラクターは主人公やヒロイン、その周りの人たちと顔が同じで、大体肌色や髪色が違うだけというでデザインになってます。手抜きというわけではなく、テーマが輪廻転生の上での魂と魂のつながり、みたいな感じなので仕方がないのです……

最後とかどう収拾つけるんだろうと思っていましたが、割といつもと同じようなノリでうまくまとめていて安心しました。ここはちょっと贔屓目が入ってるかもしれませんが

上2つと比べると、あるいは漫画全体のなかでも一風変わった作品なので、是非読んでほしいものの1つ

こんなところですね。この人は短編集も出していて、30ページくらい使って敵のボスまで一直線に突っ走って殴りに行くだけの漫画とか、兄妹アンソロジーで他の漫画が普通にラブロマンスしてる中でなぜか兄が呪い的なものでワニになってる漫画とかも描いてるので、興味を持った方は是非その辺も